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静岡家庭医養成プログラム(SFM)先輩たちの活躍

SFMから羽ばたいた先輩たちは、それぞれの方法でその人らしい地域医療を実現しています。

ここで育った家庭医の、
みなさんのいま

SFMを卒業した方の半数以上が
静岡県内で医療従事しています。

静岡県内で医療従事

  • 1人

    産婦人科専門研修中
    (浜松医大)

  • 1人

    英国研修▶︎家庭医療教育
    (他大学)

  • 2人

    実家の医院で勤務
    (内科系)

  • 4人

    プログラム指導医として
    継続

  • 5人

    スタッフとして家庭医療
    クリニック勤務

  • 4人

    家庭医・総合診療医として
    県外で勤務

  • 6人

    他科専門医取得
    (産婦人科4名、皮膚科1名、消化器内科1名)

家庭医のみなさん
のいま

患者さんと家族の想いの間に入る家庭医としての醍醐味をここで学んだ

御前崎市家庭医療センターしろわクリニック 指導医 綱分信二先生 卒業年:2008年 / 福岡県出身

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家庭医?何それ?」から始まったSFM1期生

私がプログラムを受けた頃は、まだ家庭医の認知がされていなくて、行くところ行くところで「それ何?」と言われてましたね 笑。同期と一緒に悩みながら、家庭医の理解者を増やしていくところからのスタートでした。今でこそ家庭医療クリニックとかセンターがありますが、当時は全くなくて、診療の場所も患者さんもいなかったので、最初は菊川市立総合病院の救急外来や、公立森町病院の時間外や救急にかかる患者さんの診療をしていました。途中からクリニックができたので、救急外来から経過観察でクリニックに来てもらって、そこで患者さんを診察することが多かったです。私自身、救急外来は経験がなかったので、色んな患者さんを診られたことで足腰が鍛えられたと思います。

温かな思いに包まれる在宅での看取り

プログラム中に出会った患者さんで、90歳代でお亡くなりなった方が特に今でも記憶に残っています。遠方から娘さんが介抱に来られていて、患者さんであるお父さんに少しでも元気になって欲しいという思いから、「あれを食べろ、これも食べなきゃダメ」とか、「なんで動かないの、ずっと家にいたら弱っちゃうよ」など、色々おっしゃっていたんです。それをお父さんは「それは辛いから嫌だ」と言い、そのことで親子間で言い合いが続いていて。それでも、そんな親子の想いの間に入るのも家庭医の役割のひとつであることを学ばせてもらったのを思い出します。それからも色々なことがありましたが、ある時、娘さんがお父さんの衰えを受け入れた瞬間があったのを感じました。その後、お父さんがお亡くなりになられたのですが、死亡確認に行ったときに、娘さんが「先生、お父さんに拍手してもらって良いですか?」とおっしゃられて。特に在宅の場合、患者さんが穏やかでいるためには家族も穏やかでないといけないし、なかなか人が亡くなって「良かった」なんていうことはないはずなのに、ご家族は「本人が穏やかに過ごせて良かった。」「最期まで家族と過ごせて良かった。」とお話しされて。そんな家族の温かい思いに包まれることが在宅の看取りの場に多いことに驚き、多くの経験をさせていただきました。

地域で暮らす方たちの健康寿命を少しでも長くしたい

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私はいま、当プログラムの指導医として、御前崎市家庭医療センター×しろわクリニックで臨床を行いつつ専攻医の方にアドバイスをしています。今後していきたいことはいっぱいありますが、この地域には寝たきりだけど通院で頑張っている方や、入院して癌の治療を受ける方などたくさんいらっしゃいます。ご本人やご家族の希望があれば家でも安心してちゃんと医療が受けられる体制を作っていきたいと思うので、今元気な人はさらに元気になってもらえるよう健康寿命を極力伸ばせるだけ伸ばしたい。寿命と健康寿命が一緒の状態に出来たらいいなと思います。後は、小さなお子さんも多いので、どんな世代の人が来ても、ここで必要な医療がまかなえる地域にしていきたいです。

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好奇心旺盛な人には、
家庭医は 特に向いていますよ

医師としてのやりがいや楽しさは「患者さんに喜ばれてなんぼ」なところがあるんですよね。小さな悩みから大きな悩みまで色んなことに応えて、たとえ治らない病気であっても最後は幸せな時間を過ごしてもらうという治療以上のことが醍醐味だったりもします。患者さんや病気を診たい、家族も診たいし地域も元気にしたい、そんな好奇心旺盛な人には特に向いているのが家庭医ではないかと思います。興味のある方はぜひ見学だけでも参加してみてください。お待ちしています!

SFMでの経験が開業医としてクリニック経営でも活かせている

鹿野クリニック 院長 鹿野耕太先生 卒業年:2009年 / 栃木県出身

人との関わりを求めて医師の道へ

もともと父親が医師ということもあり、医師という職業は意識していました。最初は、理工学系の大学に一旦進みましたが、もっと人と関わる仕事がしたいなと思い中退し医大に進んだのも父の背中を見ていたからだと今になって思います。研修医の2年目でその後の進路を考えたときに結構悩みましたが、その頃に知り合った先生にSFMの家庭医養成プログラムを教えていただいていてとても興味を持ちました。そこで、実際に見学に行ったのですが、その時に先生方が、今後日本が迎える高齢化社会に向けて大きなビジョンを持ってらっしゃったことがとても面白く感じ、また「総合診療や家庭医療」はまだまだこれから発展する分野であるということも興味深く、このプログラムへの参加を決めました。

自分で考え、自分で行動できる自由な環境

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実際にSFMに参加してみて、先進的事例として家庭医療の本場であるアメリカの先生との交流があったり、当時はまだできたばかりの専門研修プログラムということもあり、かなり自由にやらせてもらえたのも良かったです。
診療の面でも経験のある先生が上にたくさんいると、「こういうやり方をしなさい」というのがあると思うのですが、結構自由にやらせてもらえて(笑)。逆に自分たちで考えないといけないしんどさもありましたが、患者さんや仲間と相談しながら、そのときベストと思えることを試せたというのは、医師としてとても成長することができる貴重な時間だったと思います。

卒業生との情報交換や後輩指導でボトムアップも

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SFM時代に仲間のみなさんと(一番左が鹿野先生)

現在は地元の栃木県で内科・胃腸内科・外科・肛門内科・小児科・そして家庭医としてクリニックを経営しています。地域に密着したクリニックは、やはり家庭医としての側面がとても強くて、SFMでの学びはそのまま活かすことができています。また、SFMの特徴のひとつである「自分で考え自分で行動する」というスタンスは、現在のクリニック経営にも反映させていて、医師や看護師、職員を含めてみんなで、このクリニック、ここの地域医療をさらに良くしていくためには、どういったことが必要かを考える風土が根付いています。個人的にはコロナの影響で中断してしまいましたが、今後はSFMの同門会を開催して、それぞれの立場や環境から見た家庭医や家庭医療についての情報共有やアップデート、SFMの後輩教育にも力を注いでいきたいと思っています。

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何でもやってみたい
いろいろ自分で試してみたい
そんな人には
「家庭医療」はおすすめです

どんな人が家庭医に向いているかはよく分かりませんが、何でもやってみたい、色々自分で試してみたいと思う人にはおすすめの分野だと思います。開業医・クリニックとして後輩に伝えられることは惜しみなく伝えていきたいと思うので、少しでもSFMに興味を持った方は是非参加してみてください。

SFMで数多くの医療現場を経験したからこそ産婦人科医になる決意ができた

浜松医科大学 産婦人科 岩田智子先生 卒業年:2009年 / 静岡県出身

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SFMで知った家庭医療の中の生死と隣り合わせにあるお産

私が医師を目指した頃は、患者さんにとって身近なお医者さんになりたいという思いから「小児科とかに進むことになるのかな?」と漠然とした将来像しかありませんでした。そのような中で、医学生の時にはじめて『家庭医』というものを知り、これはまさに自分がやりたいお医者さん像だ!と思い、すぐに静岡家庭医養成プログラムの門を叩きました。

当時からSFMでは、特に産婦人科の研修に力を入れていて、たくさんのお産に立ち会う機会に恵まれました。しかし、その中で、とても怖いお産があったんです。目の前の患者さんが、無事に赤ちゃんは生まれたものの、出血が多く命を落としかけるというもので、身近な女性医療が提供できる家庭医は今後も求められる一方で、すごく厳しいハードルがあることを目の当たりにしました。それこそSFMのプログラムでなければ経験できなかったことだと思います。お産というハッピーな場面ではあるけれど、その一面として生死と隣り合わせの非常に厳しい現実もあり、それを身をもって知った貴重な経験が、その後の産婦人科医を目指すきかっけにもなりました。

何気なく体調や家族計画などを相談できる 家庭医療をバックボーンに持つ産婦人科医が今のわたし

現在、浜松医大の産婦人科の専門医として多くの女性や母子を診ていますが、家庭医という視点を持ちあわせて診ることで、家庭環境やその生活までイメージして診察することができます。例えば小児科分野でいうと、予防接種で来るこどものお母さんの産後ケアを考えたり、子どもの付き添いで来られたお母さんの第二子のことを考えているという悩みの相談に乗ったり、体調のことなど気軽に相談できるレベルの医療を普通に提供できるのが理想的だなと思ったのはSFMでの経験からです。そういった視点は産婦人科医として後輩に指導できる立場になって、後に続く医師たちに還元できたのは良かったと思います。

女性医療が当たり前に提供できる家庭医にも力を注ぎたい

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今の働き方としては、産婦人科医3.5日、家庭医1.5日なのですが、今後は軸足を家庭医に戻したいと考えています。産婦人科・女性診療を家庭医の後輩に指導しつつ、産婦人科の専門医としての知識やスキルを家庭医・家庭医療ともっと融合させて、日ごろの悩みを含めた子宮に係ることやお子さんのこと、ご兄弟をどうするか?といったご相談にも乗りながら診察する。まさにそれこそが、SFMが掲げる「子宮から天国まで」ということなんだと思います。

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たくさんの家庭医が日本中に広がって欲しいので、
みなさんも目指してください!

家庭医の特徴の一つに分野の“幅広さ”があると思います。これがやりたい!というのが定まってない方はもちろん、色々やりたいと思っている方まで、自分の引き出しの多さを広げるという意味でもSFMはおすすめのプログラムです。たくさんの家庭医が日本中に広がっていくことが、今後の日本の医療のためになると思うので、是非みなさんも目指して欲しいなと思います。

家庭医療×在宅医療で理想とする医師を目指したい

めぐみ在宅クリニック 家庭医療専門医、認定内科医 津山 梓先生 卒業年:2009年 / 神奈川県出身

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自分のイメージする医師の姿に近づくためのSFM

私が医師を目指したきっかけは、小学校の時にテレビで「国境なき医師団」の活動を知ったことです。その時に、すごく小さくて粗末な診療所に長い列ができているのを見て、医療というものはどんな地域や場所でも求められているんだということが、子どもながらにわかり、それから医師が憧れの職業になりました。実際、医大に入ってみましたが、どのようにすれば自分のイメージしている医師に近づけるのかわからずに、とても悩んでいた時期がありました。東京で家庭医の養成プログラムに所属していたこともありましたが、都市部では様々な診療科や専門医がいたるところにあって、患者さん自身も専門医や専門医療機関に受診することに慣れている環境というのもあり、どこか自分にはしっくりこなくて…。
そんな時に、静岡県の医師不足の地域で、家庭医を養成するプログラムがあるということを知り、全科診療を掲げていることもとても魅力だったので、「これだ!」と思いSFMへの参加を決意しました。

SFMはやりたいことを後押ししてくれる場所

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私は2期生でSFMに参加しましたが、立ち上げの時期だったということもあり、「どうやって患者さんを増やそうか?」「家族のかかりつけ医になるにはどうしたらいいか?」といったディスカッションをクリニック全体で考える環境にありました。普通は院長以外気にしない部分だと思うのですが、レジデントも巻き込んで自分たちの存在意義や認知をどう広めるか考えるのは、とっても良い経験でしたね。色んなことをしていくうちに、だんだんと地域の方にも認知されるようになり、「これも診てもらえるんですか?」みたいな感じから始まって、おじいちゃんおばあちゃんから孫夫婦、ひ孫まで家族ぐるみの主治医になれたご家庭もあって、少しずつですが理想としていた診療活動ができるようになりました。

また、家庭医に興味のある医大生に出会ったことをきっかけに、その後、浜松医大で半年に1回家庭医の勉強会を3年間継続して行ったことも印象深い思い出です。そんなことができたのも、SFMがレジデントの意見を尊重して、何かあれば協力している雰囲気があったからこそ。きっと、これから入ってくる人たちも何かやろうと思った時に後押ししてくれる場所になると思ってます。

求められるところで、求められる医療をする

私が尊敬している先生の「求められるところで求められる医療をする」という言葉があって、医者も変わっていくべきだし変わって良いと思うんです。家庭医だと幅広い患者さんを診て、まずは相談してもらうところから始まり、目の前の人が何を困っているかを周りの仲間と一緒に考えて、すべきことをする。求められていることが何か、そこから医療が始まるのだと感じています。

今は緩和ケアを学んで、緩和ケアの認定医を取ろうと思っています。理由は認定医が欲しいというわけではなく、私自身3歳になる子どもがいて、将来その子の山村留学に行った際にそこの診療所で働いて、家庭医と在宅ができる医者として地域で働きたいというのが、今の私の夢のひとつです。

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先生にここまでしてもらえて良かった」
と言われたときに本当にやりがいを感じます。

家庭医を在宅で行うことは、とても密接な関係性にあると実感しています。在宅に行くと患者さんだけじゃなくて、ご家族や特にケアをする人の心と身体の健康も患者さんに直結する問題だったりするので、日ごろのコミュニケーションがとても役立ちます。例えば、その患者さんにとって好きなデイサービスの話をしてみたり、好きな歌を歌ってみたり、患者さんが笑顔になれるのはどんなことか?をご家族と一緒に考えそういったかかわりの中で、「先生にここまでしてもらえて良かった」と言われたときに本当にやりがいを感じます。そんな家庭医、在宅での緩和ケアも含めて、一緒にできる仲間が増えればいいなと思います。

SFMでどの道に進んでも活かせる知識とスキルが取得できた

公立森町病院 松永 拓先生 卒業年:2016年 / 静岡県出身

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やりたい科目が見つからず飛び込んだSFM

もともと、私が医者になりたいと思ったのは、人からダイレクトに感謝される仕事で直接その人の人生に関われることがいいなという漠然とした動機からでした。実際に医学部に入って研修医2年目のときに、やりたいものが全然見つからなくて、幅広く患者さんが診れる現場はないかと考え総合診療で探してみたら、たまたま「家庭医療」と出会ったという感じです。実際にプログラムを受けてみて、思っていた以上に幅広く、深いというのが率直な感想です。特に、女性医療がここまでできるようになるとは思っていなかったですし、自分にとっても自信が持てる分野になったと感じています。

卒業後、プログラムで培った視点や対応力を糧に

現在はSFM時代に病棟研修を受けていた、森町病院で内科医として外来や入院診療をメインで患者さんを診察しています。もともと家庭医療は、クリニックだけじゃない可能性を秘めていて、『病院家庭医』という言葉も最近出てきていますが、病院診療においても家庭医の視点や技術、知識は相当活きていると実感しています。例えば、患者さんのバックグラウンドとしてこれまで生きてこられた背景やご家族を知ること、日常生活をイメージするとなど日々の診察で知識や技術が活かされています。内科的なところはまだ勉強しないといけないことも多いですが、細かいマイナートラブルなども一般内科よりは圧倒的に対応できているのではないかと思います。

多くの症例から研究を重ね日本の家庭医療を発信したい

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これからの事については、その時々で思うことはたくさんありますが、今は将来的にグループ診療をやってみたいと思っています。理由としては、エリアごとにグループ診療をすることで、それぞれの症例やエリア特性など幅広く見えてくることが必ずあって、集まった症例は研究にも活かすこともできるので、日本の社会や地域ごとの課題に応じた家庭医・総合診療をアップデートしていけるのではないかと。今は家庭医療において先進的とされるアメリカやイギリスなど海外のアセットを取り入れる考え方が強いですが、日本の家庭医療の現場から地域の住民がより幸せに暮らせるための取り組みなど、結構おもしろいトピックスを世界に発信していけるのではないかと思ったりもしています。

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ジェネラルマインドな視点を養えるSFM
少しでも興味のある方には全力で応援します!!

家庭医に興味を持ってくれるだけですごく嬉しいなと思います。最終的には違う科を選ぶ人も多いんですよね。それでも良いのではないかと思っていて、最終的に家庭医を選ばなくても患者さんやご家族の生活を診るというジェネラルマインドな視点は、どこに行っても必ず役立ちますし、持ち合わせていて欲しいものだったりするので、少しでも興味のある方には全力で応援したいですね。

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