9月9日(木)にGR(レジデントデイ)を行いました!
今回は2年目の専攻医3名による振り返り発表でした。
●専攻医①「PCCM、してみん?」
オンラインで絶賛開催中の「患者中心の医療の方法」の輪読会で学んだことをまとめ、実際に診療した患者さんに当てはめてみるという試みでした!
患者中心の医療の方法(Patient-centered clinical method, 略してPCCMと呼んでいます)は家庭医療のコアとなる理論で、家庭医にはなくてはならないスキルです。
残念ながらこのダイジェストでは語りきれないので詳細は割愛します。ご興味のある方ははぜひ輪読会にご参加ください!
紹介してくれた症例は、多発脳梗塞などに対して薬を飲んでいる60代男性で、薬を減らしたい思いがありました。
この患者さんをPCCMの理論に照らし合わせて、病気に対する感情・解釈・影響・期待や健康に対する思いを明らかにし(①)、家族の状況や職業、趣味などの近位・遠位コンテキストを知り(②)、それらを統合して共通の理解基盤を見出す(③)過程を順を追って具体的かつ分かりやすく発表してくれました!
自分は理論を学ぶとついそれに当てはめることが目的になってしまいがちですが、理論はあくまで最適な医療・ケアを提実践するためのひとつの手法・手段であることを忘れずにいたいと思いました!
輪読会はまだまだ続きます!どなたでも、途中からの参加も大歓迎です。
聴くだけ(耳だけ)の参加もOKです!ご参加をお待ちしております!
●専攻医②「急性ストレス障害やPTSDへの対応」
外来で診療した20代女性患者さんの症例を元に、急性ストレス障害やPTSDの診断や治療について分かりやすくまとめてくれました!
PTSDの治療は薬物療法のほか、長期間曝露療法や呼吸によるリラクゼーションなど様々なアプローチ方法があることを学びました。
また、私たち家庭医がメンタル面に問題を抱える患者さんに出会った時に常に考慮する、「どのタイミングで専門医(精神科医)に紹介すべきか」について、近隣の総合病院で働く精神科医に実際に見解を聞き、その回答を共有してくれました。
その回答の中で、「精神科がその患者さんを治療している間に家庭医療科が他の患者さんを治療することで全体として救える患者さんが多くなる可能性がある。またその逆も成り立つ」という言葉が印象的で、これまでの自分にはその視点が欠けていたのでハッとさせられました。
目の前の患者さんだけでなく地域全体のためのことも考えて「チームで診る」「地域で診る」視点と、紹介する側と紹介される側の思いや事情を共有することの大切さを感じられた発表でした!
●専攻医③「家族志向型ケア」
誤嚥性肺炎や尿路感染症で入退院を繰り返す90代の女性患者さんとそのご家族が、施設入所と在宅医療の間で“揺らいだ"症例を発表してくれました!
一旦は在宅でのケアを選択するも、その後施設入所することを選ぶことになりました。実はその背景には患者さんのことを本当に大切に思い、最期まで十分なケアを受けて欲しいというご家族の想いが隠れていました。
患者さん自身だけでなく家族のかきかえ(解釈、期待、感情、影響)を捉えることや患者さんに対する家族の思い、家族の状況を明かにすること重要性を感じる一例でした。
このように、SF Mは「患者中心の医療」「家族志向型ケア」「チーム医療」等の家庭医療学をみんなで楽しく学び実践しています!ご興味のある方はぜひご連絡ください!
【次回予告】
9月30日(木)
・レクチャー:大阪医科薬科大学 研究支援センター 医療統計室 西岡大輔先生「健康の社会的決定要因」
・専攻医2名による振り返り発表