今回のレクチャーは名古屋検疫所/長崎大学熱帯医学研究所の守屋章成先生にご講演いただきました。
久々の現地でのレクチャーは、質問も多く飛び交いとても活気ある内容でした!
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★専攻医O先生の振り返り★
<しろわ専攻医N先生>
原因不明で他覚所見もなく、効果判定前に薬を自己中断してしまう、かかりつけがなく家族も経過がわからない、というめまいを主訴とした高齢男性の症例です。
このような未分化な健康問題について、指導医と改めてCase based discussionを行い、加齢性前庭障害という診断の可能性を模索したり、CGA-7や要介護認定などの生活環境などについての把握や、ICFの生活機能モデルを元にできる介入を検討しました。その後、全員とこのような症例についての介入方法についてディスカッションを行いました。
このような患者さんについて、診断がつかない、方針が決まらないなどの不確実さを受け入れつつ、継続的な診療を行うことも家庭医の腕の見せ所です。
<しろわ専攻医O先生>
藤枝市立総合病院での小児科研修の特徴、経験症例などについてお話ししていただきました。また、医療的ケア時の移行期ケアについて、実際に経験した20代女性の大腿骨骨折、尿路感染症、下痢症の症例をもとに、医療的ケア児の家族の心情をどのようにサポートしていくのかに考察しました。移行期医療は、長く見続けてきた小児科医から、成人診療科に移行する際には、様々なハードルがありますが、multimorbidityであったり、在宅診療であったりの分野にも経験のある総合診療科や家庭医は役に立つことができるのではとの提言でした。
また、家族背景・養育環境に問題のある先天性疾患のある新生児の複雑困難症例について紹介しました。
小児科での経験を今後の家庭医での診療に活かしていきたいですね。
本日のレクチャーは、以前より渡航外来の開設にあたって数回レクチャーをいただいている、守屋先生より、キャッチアップ・任意ワクチン接種について講演していただきました。
ワクチンの基礎知識を復習した後に、、日本脳炎ワクチンを接種していない20歳の男性のキャッチアッププランを以下の手順でエビデンスに即して考える方法を教えていただきました。我々医療者もなかなか体系的に学ぶ機会が少ないので、とても勉強になりました。
「黙って待っていてもうちに来ない」という言葉がとても印象的でした。普段の外来での声かけや、ポスター掲示などでの積極的な声かけが重要だと思いました。
〜講演後の小噺〜
本日守屋先生が着ていらしたTシャツ、"vaccines cause adults"と書いてありました。イギリスでその昔、ワクチンのせいで自閉症になるという間違った知識を広める、反ワクチン団体の活動に対して、正しい科学的根拠を持ってワクチンを勧め、ワクチンでVPDを防ぐことで、大人になるまで健康に過ごせる、という意図が込められています!皆さんも着てみては?
以上、森町専攻医Oでした!
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専攻医O先生の振り返りの中ででてじゅた、未分化な健康問題に関する代表的な書籍『Mapping Uncertainty in Medicine(医療における不確実性をマッピングする)』の日本語訳本には、指導医 金子惇 医師の他 、数名のSFM医師が携わっています!
http://www.kai-shorin.co.jp/product/sc011.htmlまた、日本医事新報社の『プライマリ・ケアの理論と実践』にはSFMの遠藤医師の記事があります!
https://www.jmedj.co.jp/premium/pcriron/興味のある方は、読んでみてください♪