★「ナラティブに基づく診療」ワークショップ ダイジェスト★
7月6日(木)にNarrative-based Practiceの第一人者である英国のJohn Launer先生を森町家庭医療クリニックにお招きして、『ナラティブに基づく診療』のワークショップを開催して頂きました!
前日に浜松医科大学において行われた講演会の内容をもとに開催されたリアルな実演を交えた『実践編』でした!
昨今の医学教育・臨床において、Evidence based medicine(EBM)=『根拠に基づく医療』はしばしば耳にしますが、今回は『Narrative-based Practice』についての学びでした。
直訳すれば『患者の物語に基づく診療』となり、私自身は前日の講演会を聴講するまでは患者さんの話をよく聞いて診療することを推奨する医療従事者の心得のようなものかと思っておりましたが、その奥深さに感嘆するばかりでした。
患者さんが語る苦悩に関する物語に対して、『適切な傾聴と問いかけ』によって、患者さん自身に省察を促し物語を良い方向へ導くアプローチ法で、それは患者さんの物語を医療者の視点で理解可能な方向に修正したり説得したりするものではなく、自ら変化を促す会話(Conversations Inviting Change (CIC))に基づくものでした。
『医師の解釈や物語を語ることは患者さん自身が物語を紡ぐspaceを埋めてしまうことになる』といったポイントは大変印象的で、患者さん自身の考える力を信じるところからスタートする技法であると感じました!
3時間のワークショップ内では、John先生と参加者(模擬患者役)との対話の時間が設けられ、集まった参加者はJohn先生が投げかける問いかけの意味を考えながら、その一挙手一投足に熱視線を送っておりました。
何分間のやり取りだったのかわからないほどその空間に引き込まれるような貴重な体験でした!!
なお、ここまでのダイジェストをお読みいただき、もっと知りたいと思われた方は、John先生の著書:『Narrative-Based Practice in Health and Social Care』を手に取って学びを深めてみてはいかがでしょうか。
ダイジェストしきれないほどの濃密なワークショップとなり、ここで得た学びを家庭医としての今後の診療に生かしていければと思います。
John先生、ワークショップにご協力いただいた方々、本当にありがとうございました!